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坂の上から見えた、ある家族の風景
先日、市内のある坂道を歩いていたときのことです。保育園帰りでしょうか、小さなお子さんの手を引いたお母さんが、海の方を指さしながら「今日もきれいだね」と話しかけていました。お子さんは「きれい!」と大きな声で応えて、二人で笑っていました。
何気ない、本当に何気ない日常の一コマです。けれど私は、その後ろ姿を見送りながら、胸がぎゅっと熱くなりました。この坂、この海、この空気の中で育つ子どもたちがいる。小樽という港町には、そういう豊かさが確かにあるのだと、改めて感じたのです。
私が政治の道を志した原点のひとつは、「子どもたちが『小樽で育ってよかった』と心から言えるまちにしたい」という思いでした。今回は、小樽の子育て支援と学校教育について、私なりの思いと提案をお伝えしたいと思います。
数字が語る、小樽の子育ての今
はじめに、少し厳しい現実にも目を向けなければなりません。小樽市の人口は、ピーク時の約20万7千人(昭和39年)から、現在は約10万6千人へと、ほぼ半減しました。年間の出生数も、かつては数千人規模だったものが、今では300人台にまで減少しています。
少し驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。けれども、これは責めるべき数字ではなく、私たちが向き合うべき数字なのです。
子どもがいる風景は、まちの未来そのもの。学校の下校時刻、公園のブランコ、商店街を歩く親子連れ——これらの光景がどれだけあるかで、10年後、20年後のまちの姿は大きく変わります。
だからこそ、「子育て支援」は数ある政策の中のひとつ、ではなく、小樽の未来を決める最重要課題のひとつだと、私は考えています。
「選ばれるまち」とは何だろう
よく「子育て世代に選ばれるまちづくり」と言われます。しかし、私はこの言葉を使うたびに、少し立ち止まって考えるようにしています。
選んでくださるのは、お父さんやお母さんだけではありません。本当は、子どもたち自身にも選ばれるまちでなければならないのではないでしょうか。
では、子どもたちに選ばれるまちとは、何でしょうか。私なりに整理してみると、次のような要素があると思います。
- 安心して通える保育園・幼稚園・学校があること
- お金の心配をあまりせずに、学びや習い事ができること
- 放課後や休日に、安全に遊べる場所があること
- 地域の大人たちに「おかえり」と声をかけてもらえること
- 自分のまちを「好きだ」と胸を張って言えること
この5つは、どれも立派な建物や巨額の予算がなければできない、というものではありません。むしろ、私たち大人の意識と、日々の小さな積み重ねで実現できることばかりです。
具体的に取り組みたいこと
私が特に力を入れたいと考えているのは、次のような分野です。
- 医療費助成の拡充——子どもの急な発熱に、ためらわず病院へ行ける環境を
- 保育の受け皿と質の両立——預けられるだけでなく、安心して預けられること
- 学校給食の無償化・質の向上——地元食材を使った温かい給食を全ての子に
- 放課後の居場所づくり——学童保育の拡充と、地域の空き施設の活用
- 子育て相談窓口のワンストップ化——「どこに相談すればいいかわからない」をなくす
学校教育——小樽だからこそできること
私は、小樽の学校教育には、他のまちにはない大きな強みがあると信じています。それは「本物に触れられる環境」です。
歴史ある街並み、現役で動く港、豊かな海と山、そこで働く職人さんや漁師さん、商店街の店主さん。教科書の中にしかないものが、小樽では窓の外にあります。これほど恵まれた「生きた教材」を持つまちは、全国を見渡してもそう多くはありません。
ある小学校の先生がおっしゃっていました。「子どもたちは、自分のまちのことを学んだとき、目の色が変わるんですよ。『僕のおじいちゃん、ここで働いてたんだ』って誇らしげに話してくれる」
この「誇り」こそが、将来この子たちが進学や就職で一度まちを離れても、「いつか小樽に戻りたい」と思ってくれる種になるのではないでしょうか。
学校そのものを守るということ
一方で、児童数の減少にともなう学校再編の問題もあります。統廃合は、保護者にとっても地域にとっても、本当に重い決断です。私は、こうした議論を進める際には、何よりも地域の声を丁寧に聞くこと、そして「子どもたちの学ぶ環境が最もよくなる形は何か」という一点を軸にすることが大切だと考えています。
統合することで学習環境が良くなる面もあれば、通学距離が延びて負担が増える面もあります。両方の面を、数字と現場の声の両方から見つめなければなりません。
子育て世代の声を、政策の真ん中に
議会活動をしていてよく感じるのは、「子育て世代の声が、意外と政策に届いていない」ということです。それはなぜか。理由は単純で、子育て中のお父さん・お母さんは、本当に忙しいからです。
平日の昼間に行政の会議には出られない。夜はお子さんの寝かしつけがある。休日は家族の時間を大切にしたい。当然のことです。だからこそ、こちらから出向いて、聞きに行かなければなりません。
私自身、保育園の送り迎えの時間帯に園の前に立ったり、公園で遊んでいる親御さんに声をかけさせていただいたり、オンラインでのアンケートを行ったりと、できるだけ「届きにくい声」を拾う工夫をしてきました。
こんな声をいただきました。「立派な新しい制度より、今ある制度をもっとわかりやすく教えてほしい」「相談したいとき、担当がたらい回しにならない仕組みがほしい」——どれも、本当にその通りだと思いました。
派手な新規事業を打ち出すことよりも、今ある支援を必要な人にきちんと届けること。地味ですが、これこそが行政の本当の仕事だと、私は感じています。
子どもたちに胸を張れるまちへ
最後に、少しだけ個人的な話をさせてください。
私はこの小樽というまちが、本当に好きです。朝の運河に立ちこめる霧も、冬の雪に埋もれた坂道も、祭りの日の商店街のにぎわいも、どれも私にとってかけがえのない風景です。
この風景を、次の世代に手渡したい。いや、ただ手渡すだけではなく、「大人たちはちゃんと頑張ってくれていたよね」と、将来の子どもたちに胸を張って言えるような、そんな仕事をしたい。これが、私が市議会議員として毎日大切にしている思いです。
子育て支援も、学校教育も、すぐに結果が出るものではありません。10年、20年という時間をかけて、ようやく「あのとき頑張っておいてよかった」とわかるものです。だからこそ、今、目の前の一歩を踏み出す必要があるのだと思います。
皆さんのご家庭には、どんな子育ての悩みがありますか。お子さんは、学校で何を楽しいと感じていますか。そして、小樽のどんなところを好きだと言っていますか。
ぜひ、聞かせてください。皆さんの声の一つひとつが、このまちの未来をかたちづくっていきます。子どもたちに選ばれるまち、小樽。その実現に向けて、これからも一歩ずつ、歩み続けてまいります。
