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倶知安までもうすぐ——私たちの足元で起きていること
皆さん、こんにちは。小樽市議会議員の中村よしひろです。
先日、朝里の海沿いを歩きながら、ふと考えました。「北海道新幹線が札幌まで延びたとき、この景色を初めて見る人は、どんな顔をするだろう」と。
北海道新幹線の新函館北斗〜札幌間の延伸工事は、現在も進められています。開業時期については当初の2030年度末から見直しの議論が続いており、確定的なことを申し上げるのは難しい段階ですが、いずれにせよ「新幹線が札幌まで来る時代」は、確実に私たちの前に近づいています。
そして、小樽のお隣・倶知安町には新幹線駅ができます。札幌駅から小樽駅までは快速エアポートで約32分。倶知安から小樽へのアクセスも、工夫次第で大きな可能性を秘めています。
新幹線は小樽には停まりません。けれども「停まらないから関係ない」のではなく、「停まらないからこそ、どう引き込むか」が問われている——私はそう考えています。
小樽駅に降り立つ人を、どう迎えるか
小樽の観光入込客数は、コロナ禍で大きく落ち込みましたが、近年は回復基調にあります。令和の時代に入り、特に外国人観光客の戻りは目覚ましく、堺町通りを歩けば、様々な言語が飛び交っています。
一方で、市民の皆さんからはこんな声も届きます。
- 「駅から運河までの導線が、初めての人にはわかりにくい」
- 「大型バスとレンタカーで、観光シーズンは生活道路まで渋滞する」
- 「お客さんは来るけれど、地元の商店に落ちるお金は限られている」
これは贅沢な悩みでしょうか。いいえ、私はそうは思いません。「人が来ている」ことと「まちが潤っている」ことは、残念ながらイコールではないのです。
二次交通という生命線
新幹線時代を見据えたとき、最も重要なのは「新幹線駅から小樽までの二次交通」です。札幌駅・新小樽駅(仮称)・倶知安駅——どの結節点から、どんな交通手段で、何分で小樽に来られるのか。この見える化と利便性向上は、待ったなしの課題です。
私は議会でも繰り返し申し上げていますが、JR函館本線(札樽間)の輸送力・快適性の維持、小樽〜ニセコ方面を結ぶバス路線の再構築、そして観光客にも市民にも使いやすいICカード・多言語案内の整備は、延伸開業までに整えておくべき「宿題」だと考えています。
並行在来線という宿題——函館本線「山線」の行方
ここで、少し重いテーマにも触れさせてください。
新幹線開業に伴い、函館本線の長万部〜小樽間、いわゆる「山線」は、JR北海道からの経営分離が決まっています。沿線自治体での協議の結果、鉄道としての存続は断念され、バス転換の方向で調整が進められているのが現状です。
小樽市民にとって、この山線は余市・仁木・倶知安といった後志地域と小樽を結ぶ、暮らしと歴史の線路でした。果物を運び、通学生を運び、観光客を運んできた線です。
鉄路がなくなっても、人と人のつながり、まちとまちのつながりまで途切れさせてはならない。
バス転換後の運行本数、料金、乗り継ぎの利便性——これらは机上の数字ではなく、通院する高齢者、通学する高校生、週末に小樽へ買い物に来る方々の、生活そのものです。小樽市としても、後志の中心都市としての役割を果たすべく、沿線自治体と協調して声を上げていかなければなりません。
交流人口を「関係人口」へ育てる視点
さて、話を前向きな方向に戻しましょう。
私が小樽を好きな理由のひとつは、このまちが「一度来た人を、二度三度と呼び戻す力」を持っていることです。運河のガス灯、冬の雪あかりの路、春の桜、夏の潮まつり、秋の天狗山の紅葉——季節ごとに違う顔を見せる小樽には、「もう一度あの景色が見たい」と思わせる何かがあります。
新幹線延伸は、交流人口を増やす大きなチャンスです。しかし、通過するだけ・一度来るだけの関係では、まちの未来は作れません。目指すべきは「関係人口」——つまり、繰り返し訪れ、小樽のファンになり、できれば二拠点生活や移住までつながっていくような、深い関わり方を持つ人たちを増やすことだと思うのです。
具体的に、何ができるか
- 空き家・空き店舗の活用:歴史的建造物を含め、使われていない建物を若い起業家や移住希望者にマッチングする仕組みづくり
- 二地域居住の支援:新幹線で札幌、そこから小樽——という生活スタイルを選ぶ方への情報提供や住環境整備
- 市民との接点づくり:観光地を巡るだけでなく、市民の暮らしに触れられる体験プログラムの充実
- 地元事業者への還流:地場産品の販路拡大、ふるさと納税の活用、小樽ならではの「買う理由」の発信
どれも一朝一夕にはできません。けれども、新幹線が来てから慌てて始めるのでは遅いのです。
坂の街から未来へ——私の提案
私は小樽で生まれ育ちました。子どもの頃、父に連れられて手宮線の廃線跡を歩いたこと、祖母の家の近くから見た石狩湾の夕日、冬の朝、雪をかき分けて学校へ向かった坂道——どれも、私の原風景です。
このまちは、確かに人口減少という大きな課題を抱えています。令和の時代に入り、人口は10万人台を維持することが難しくなりつつあります。数字だけを見れば、厳しい現実です。
けれども、私は悲観していません。なぜなら、小樽には「選ばれる理由」がたくさんあるからです。歴史、港、食、文化、人——これだけ揃ったまちは、全国を見渡してもそう多くありません。
新幹線延伸は、小樽にとって追い風にも、向かい風にもなり得ます。札幌一極集中がさらに進むのか、それとも小樽が「札幌の隣にある、もうひとつの魅力的な拠点」として輝きを増すのか。それは、私たち市民と行政の準備次第です。
最後に、皆さんに問いかけたいことがあります。
「10年後、新幹線に乗ってきた誰かを、あなたは小樽のどこへ連れて行きたいですか?」
その答えのひとつひとつが、このまちの未来の設計図になると、私は信じています。皆さんのご意見、ぜひ聞かせてください。市議会は、市民の声を形にする場所です。これからも、小樽への愛情を胸に、一歩ずつ歩んでまいります。
長文、お読みいただきありがとうございました。
